はじめに:夏の着物は暑くて諦めていませんか?
「夏に着物を着たいけれど、暑くて耐えられない」 「汗だくになって体調が心配」 「夏祭りや花火大会で涼しく着物を楽しみたい」
このような悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
年々暑い時期が長く、暑さも厳しくなっているような気がします。
そんな中でも、「着物が着たい」という方に向けて、私が収集した暑さ対策アイデアを、実際の体験談とともに13項目にわたってご紹介します。
何か参考になれば幸いです。
夏着物が暑い理由と基本的な考え方
なぜ夏着物は暑く感じるのか
夏に着物を着るとき、洋服に比べて暑さを感じてしまいます。
まずはその理由を分解していきましょう。
夏着物が暑く感じる主な理由:
- 複数の布が重なることによる保温効果
- 汗の蒸発を妨げる密閉性
- 体温調節機能の制限
- 着付けによる身体の締め付け
涼しく着るための作戦
- インナーから見直す – 肌に直接触れる部分の改善
- 襦袢選びが重要 – 通気性と吸湿性を重視
- 帯周りの工夫 – 背中の熱がこもりやすい部分を対策
- 小物で体温調節 – 現代アイテムも活用
【基本編】インナーと襦袢の選び方
1. 冷感インナーの活用
おすすめアイテム: ユニクロ エアリズム、グンゼ クールマジックなど
汗がすぐに乾く素材を選ぶのがポイントです。綿製のインナーは肌触りが良いものの、汗が乾きにくく、冷房の効いた室内で体が冷えてしまう原因になってしまいます。
上記のアイテム以外にも、色々なメーカーが冷感インナーを出していますので、ぜひお試しください。
2. 半襦袢で軽やか着付け
メリットとしては:
- 長襦袢より着丈が短く涼しい
- 洗濯が簡単で清潔を保ちやすい
- 着付けの時間短縮
おすすめ素材: 麻製半襦袢
- 通気性抜群
- 吸湿性が高い
- 家庭で洗濯可能
私が使用している麻製半襦袢は、夏用の半衿も付いているため、本当に手軽に使用できます。
3. 麻の長襦袢
透け感のある着物を着用する際は、麻製の長襦袢がおすすめです。風が吹いた時に身八口や袖口から風が入り込み、想像以上の涼しさを体感できます。
注意点: 丈が長めのものが多いため、裾上げが必要な場合があります
涼しい、洗える、夏用の半衿付きで便利です。
【応用編】着付けと小物の工夫
4. 衣紋を大きく抜いて首回りを涼しく
衿が首に密着していると暑さを感じやすくなるように思います。いつもより少し大きめに衣紋を抜き、首と衿の間に空間を作ることで少し涼しく感じる気がします。
5. 補正材料の見直し
従来: 厚手のタオルやパッド 夏仕様: ボディタオル(薄手で通気性良い)
きものすなおさんが提案されていた「分厚いタイプのボディタオル」で補正をする方法です。すごい発想力ですよね。
6. メッシュ伊達締めの活用
使用アイテム: 浴衣用メッシュ伊達締め
小さなアイテムですが、襦袢と着物の間で使用するため、通気性の改善効果は意外に大きいと感じています。特に高価でもないですし、便利さもあって、実は私は年中使用しております。なかなかコストパフォーマンスの高いアイテムだと思います。
【帯周り対策】背中の暑さを軽減
7. 帯枕を使わない結び方
帯枕は背中にぴったり密着するため、熱がこもりやすいように思います。
夏の間は、以下の結び方はいかがでしょうか。
- 半幅帯での結び方
- 帯枕不使用の名古屋帯結び
- 大人用兵児帯の活用
8. 兵児帯で涼やか着付け
現在は大人の着物にも馴染む上品な兵児帯が多数販売されています。
兵児帯のメリット:
- 薄手で軽量
- 家庭洗濯可能
- 結び方のバリエーション豊富
【裏技編】現代アイテムの活用
9. 熱さまシート
これはどなたかが発信されていたアイデアなのですが、思い出せなくて・・・ごめんなさい。
貼る場所は、脇の下あたりで外から見えない位置、 着付け中に貼るのがポイントです。
実際、着付け後に貼ったことがありますが、まず貼りにくい、位置がずれやすい、ゆえに歩行中に落ちてしまったことがありました。
10. 保冷剤で移動中の暑さ対策
こちらも、きものすなおさんが発案されていたアイデアです。
(保冷材の使い方は4:55から)
使用方法:
- 特大サイズの保冷剤を用意
- 手ぬぐいで包む
- 首に当てながら移動
私の場合、最寄りの駅まで徒歩10分の移動で、小さな保冷剤は完全に溶けてしまいました。少し荷物になりますが、特大サイズの保冷剤を手ぬぐいで包み、首に当てています。
【素材選び】夏着物の素材別特徴
11. 天然素材がやはり優秀
麻(リネン・ラミー):
- 涼しい素材
- 吸湿・放湿性抜群
- シワが味になる
木綿:
- 肌触りが良い
- 家庭で洗濯可能
- カジュアル着物に最適
12. ポリエステル着物の注意点
経験上、透け感のあるポリエステル着物でも、さほど涼しくありませんでした。化繊は熱がこもりやすく、汗をかくと不快感が増すのであまりおすすめしません。
結論: 夏は天然素材を選ぶのがベター
【番外編】未チャレンジのアイデア
13. へちまを活用
ネットで検索していたら、着付けのアイテムを一部へちまで代用するというアイデアが出てきました。特にいいと思ったのが、
- 補正材として使用
- 帯枕代わりに使用
想定上のメリットは、通気性抜群であり、天然素材であること。
想定上のデメリットは、加工が必要で、たぶんチクチクすること。
現在は着物用に加工されたへちま製品も販売されているため、DIYが苦手な方はそちらの方がいいかもしれません。
ちなみに私は自作しようとアマゾンでへちまを購入し、こちらのブログを参考に作成。
・・・と言いたいところですが、正直に白状しますと、へちまを平らに切り開いて干したところから作業をしていません・・・。
思った以上に固くて痛くて・・・。完成したらご報告いたします。
夏着物を安全に楽しむための注意点
熱中症予防は最優先
これは本当に本当に大切です。
どんなに涼しく着付けて、やはり洋服に比べると布の数も全然ちがいます。
- 水分補給を怠らない: 15分おきに少量ずつ
- 休憩を取り入れる: 30分歩いたら一度日陰で休む
- 体調の変化に敏感になる: めまいや吐き気を感じたら即座に涼しい場所へ
- 無理をしない: 「着物だから」と我慢せず、体調優先
このことには十分気を付けましょう。
また、「暑い時期に着物を見ると涼しく感じますね」と声をかけていただくことがありました。
とても嬉しかったのですが、見た目の涼しさと実際の体感は別です。
自分の体調管理を最優先にしましょう。
まとめ:夏着物を快適に楽しむためのチェックリスト
【事前準備編】
- 冷感インナーの用意
- 麻製襦袢または半襦袢の準備
- メッシュ伊達締めの購入
- 保冷剤の用意
【着付け当日編】
- 熱さまシートを着付け中に貼る
- 衣紋を大きめに抜く
- 帯枕を使わない結び方を選択
- 水分補給用ペットボトルを持参
【外出中編】
- 15分おきの水分補給
- 日陰での適度な休憩
- 体調の変化をチェック
- 無理をせず柔軟に対応
夏着物で得られる特別な体験を
夏に着物を着ている人って、「本物」感があってとっても憧れます。
今はSNSなどでも、独自の暑さ対策を共有してくださっている方もたくさんおられます。
しっかりと暑さ対策をして、夏も着物を楽しみたいですね。