着物を気軽に楽しみたいけれど、お手入れが大変そう。そんな悩みをお持ちの方におすすめしたいのが、ポリエステル着物です。
洗える着物として注目を集めるポリエステル製の着物は、現代のライフスタイルにぴったりだと思います。実際に愛用している私の体験談を交えながら、ポリエステル着物の魅力をお伝えします。
なお、記載の内容は、あくまで私個人の感覚に基づいたものになりますので、あらかじめご承知おきください。
ポリエステル着物とは?ポリエステル製着物の基礎知識
ポリエステル着物の特徴
ポリエステル着物とは、化学繊維のポリエステルを使用して作られた着物のことです。天然繊維の正絹とは異なり、人工的に作られた素材を使用しています。
最大の特徴は、自宅で洗濯できること。
近年では技術の向上により、ポリエステル製でも美しい発色や柄表現が可能になっているようです。
正絹着物との違い
正絹の着物は絹の光沢と滑らかな手触りが魅力ですが、クリーニング代が高額になりがちです。一方、ポリエステル着物は自宅で洗えるため、維持費を大幅に抑えることができます。保管の際も、正絹ほど気を配らずに済みますね。
質感では正絹に劣る部分もありますが、実用性の面でポリエステル製は優れているように思います。
洗える着物としての位置づけ
洗える着物の代表格がポリエステル着物です。綿やウールの着物も洗えますが、ポリエステル製は特に扱いやすいのが特徴。
シワになりにくく、型崩れしにくいため、着物初心者の方にもおすすめの素材です。(ただし、ものによっては選択すると縮むものもありますので要注意です。)
ポリエステル着物の5つのメリット【実体験談】
自宅で洗える利便性
ポリエステル着物最大のメリットは、なんといっても洗える点です。私の経験では、ハリのあるポリエステル製なら洗濯機での洗濯も可能でした。
正絹の着物だと、丸洗いで、安くても3,000円以上かかってしまいますので、この差は大きいですよね。
洗える着物だからこそ、気兼ねなく普段使いできるのが最大のメリットです。
汚れや雨を気にせず着用可能
雨の日のお出かけや、焼肉店などにおいの付くお店に行く時も安心です。実際に私も、洗える着物の時は、汚れを恐れずに様々な場所に出かけています。
正絹だったら躊躇してしまうシーンでも、ポリエステル製なら気軽に着用できますよね。
お手入れが簡単
洗える着物はお手入れがとても簡単です。シワもつきにくく、アイロンがけの手間も省けます。(ただし、素材による)
着物のお手入れに時間をかけられない忙しい方には、特におすすめしたいポイントです。
価格が手頃
ポリエステル着物は、正絹に比べて価格が手頃です。着物を始めたい方の入門用としても最適。
複数枚揃えやすい価格帯なので、様々なコーディネートを楽しめるのも魅力です。
ポリエステル着物のデメリットと注意点
プリント感の問題
ポリエステル製の着物は、どうしてもプリント感が出やすいのが欠点です。特に大きな柄や派手な色使いのものは、安っぽく見えてしまうことがあります。
たまに、「安っぽいレンタル着物を着ている観光客」と批判する声を耳にしますが、この「安っぽさ」はプリント感によるものが大きいのでは、と個人的には感じています。
シンプルなデザインや小さめの柄を選ぶことで、この問題は軽減できるように思います。
生地の質感について
正絹の着物が体にすっと馴染むのに対し、ポリエステル製は硬い感触があります。物によっては、ガサガサとした感じが気になることも。
ただ、最近は質感の良いポリエステル着物も増えているようです。
洗濯時の注意点
気を付けてほしいのですが、「洗える着物」と表示されていても、縮んでしまった経験があります。その着物が縮風の着物だったから、袷の着物の場合、表地と裏地の一方が縮んでしまうと、お直しが必要になってしまいますので要注意です。
また、ポリエステル製でも洗濯後にシワが付いてしまったものもありました。着物は面積が広いので、アイロンが大変だったことを覚えています。脱水時間を少なくしてそのまま干し、水の重さでシワを伸ばすという方法もいいかもしれません。
洗濯前には必ず洗濯表示を確認し(もしあれば)、不安な場合は手洗いをおすすめします。
正絹と比べて、人と被る可能性が高い
ポリエステル製は大量生産が可能なので、その分人と被る可能性が高くなります。実際に、ネット上に掲載されているコーディネート写真などと、手持ちの着物が同じだったこともあります。
着付けの際の滑りやすさ
ポリエステル着物は着付けの際に滑りやすいとよく言われます。確かに表面がツルツルのものは滑りやすいですが、織りのような質感のものなら比較的着付けがしやすいように思います。
購入前に生地の表面をチェックしてみてくださいね。
ポリエステル着物は恥ずかしい?TPOの考え方
フォーマルシーンでの使い分け
「ポリエステル着物は恥ずかしい」という声もあります。実際にネットで検索すると「周囲の人に、ポリエステルであることを指摘されてしまった。」「高級なお店に行ったとき、他の人が正絹ばかりだった。」「フォーマルな場で着用し、周囲から浮いてしまった。」「安っぽさが出ていた。」などがありました。
これらを踏まえると、TPOを考えれば問題ないということだと思います。フォーマルな場や着物通が集まる場では正絹を、普段着としてはポリエステル製を使い分ければ無難かなと思います。(そもそも「指摘された」パータンは、相手に問題があるように思います。)
正絹の方がいい場だけど、どうしてもポリエステルの方がいい、と言う場合は、正絹そっくりのポリエステル着物もありますので、そういった着物を選ぶのも一つの手だと思います。
年代別の着こなし方
ネット上では、30~40代でポリエステル着物は恥ずかしいという意見も目にしましたが、私は30代でも普通に着ています。この辺の感覚は、洋服と似ているかもしれません。
まるべくテカテカした素材や安っぽい柄は避け、上品なデザインを選べば年代を問わず楽しめると思います。
周囲の反応と対処法
私の経験では、ポリエステル着物が原因で嫌な思いをしたことはありません。確かに褒められるのは正絹の時が多いですが、着物を楽しむ気持ちが一番大切です。
人のために着るのではなく、自分のために着物を楽しみましょう。
ポリエステル着物の選び方とコーディネート術
質の良いポリエステル着物の見分け方
質の良いポリエステル製を選ぶコツは、生地の厚みと柄の上品さです。ペラペラの生地や逆にゴワゴワしている記事、子供っぽいような柄は避けましょう。
シルックなど、絹に近い質感のポリエステル着物もおすすめです。
帯との合わせ方
一般的には正絹の帯を合わせる方が良いとされています。帯までポリエステルだと安っぽく見えるという意見もあるようです。
ただし、私は半幅帯でカジュアルに楽しむことが多く、ポリエステル製の帯も使用しています。
シーン別コーディネート
普段着としてなら、洗える着物の利便性を存分に活かしましょう。私は日舞のお稽古にもポリエステル着物を愛用しています。
床に正座することが多く、汗をかくお稽古には洗える着物が一番です。
まとめ:ポリエステル着物で気軽な着物ライフを
ポリエステル着物は、現代の着物ライフに欠かせない存在です。洗える利便性と手頃な価格で、多くの方が着物を楽しめるようになりました。
確かにデメリットもありますが、TPOをわきまえて上手に活用すれば、着物の世界が格段に広がります。まずはポリエステル製から始めて、着物の魅力を存分に味わってみましょう。
着物は決して敷居の高いものではありません。洗える着物で気軽に始めて、徐々に正絹の世界も楽しんでいく。そんな着物ライフを、私はおすすめします。