着物で外出する時の不安の正体とは?よくある心配事を解説
着物を着て外出する時、多くの方が不安を感じるのは自然なことです。慣れない衣装での外出は、誰でも緊張するものですよね。
よくある不安として「人から変に思われないか」という心配があるかと思います。現代では着物を着る人が少数派のため、目立ってしまうのではと気になってしまうのです。
また「着物警察に注意されるのでは」という不安も耳にします。着付けやコーディネートが間違っていたら、誰かに指摘されるかもしれないという恐れですね。
しかし、これらの不安のほとんどは思い過ごしなのです。実際に着物で外出している人の体験談を聞くと、心配するほどの出来事は起きていません。
着物での外出不安の多くは、未経験による漠然とした恐れから生まれています。正しい知識と少しの勇気があれば、きっと乗り越えられるでしょう。
1.着物警察って本当にいるの?実際の遭遇率と対処法
「着物警察」という言葉を聞いて不安になる方も多いかもしれません。しかし実際のところ、遭遇する確率はとても低いのが現実です。
着物を4年以上着続けている私でも、着物警察には遭遇したことがありません。街中で声をかけられること自体、年に数回程度です。しかも、ありがたいことに、すべてポジティブな内容ばかりです。
「着物警察」と呼ばれる人たちの中には、着物愛が強いがゆえに警察になってしまった人もいるでしょう。もし、その指摘が善意だった場合は、おそらくその指摘で傷つくことはないと思います。
もし、傷つくようなことを言ってくる人がいれば、それは気にしなくてもいいと個人的には思います。相手の方が特殊な人だったと思って気にしないのが一番です。
こう考えてみるのはどうでしょう。
例えば、洋服で歩いていて、突然服装を指摘してきた人がいたとしたら、「変な人だな」としか思いませんよね。着物で歩いているときでも同じです。「変な人だな」で済ませてしまいましょう。
着物警察への不安は、噂や想像によって膨らんでしまっている場合があります。実際には気にする必要がないレベルの確率だと考えて良いと思います。
それでも心配な時は、着付けの基本を押さえておくことで、より安心して外出できます。完璧である必要はありませんが、最低限の注意点をおさえておけば大丈夫です。
2.人の視線が気になっても「気にしない」
着物での外出時に人の視線が気になる、というのは、最初の頃は誰しもが抱く感情です。
まず「他の人は思っているほど見ていない」と心に留めておきましょう。自分が着物に興味を持つ前、街で着物姿の人を特別意識していましたか?
少なくとも、私はまったく気にしていませんでした。
着物を着始めて4年ほど経過しますが、じろじろと見られたこともありません。(後ろ姿はわかりませんが・・・。)
着物を着る回数を重ねることで、不安は自然と軽減されていきますので安心してください。慣れてくると、人の視線よりも着物を楽しむ気持ちが勝るようになるはずです。
3.着崩れの注意点を理解しておく
着物で外出する際、着崩れやすいポイントを理解しておくことで、不安な気持ちを軽減できます。基本的な注意点を押さえれば、自信を持って出かけられるでしょう。
着物姿で目を引くのは衿元です。衿が開きすぎていたり、逆に詰まりすぎていたりしないよう、着付けの時点で決めておきましょう。ここが決まっていないと、お出かけの時も始終気になってしまいます。
帯の位置や締め具合も重要なポイントです。下がりすぎていないか、歩いている間にゆるんでこないかを確認しておくと安心です。帯を締めた後に緩いと感じた場合は、帯と着物の間にタオルやハンカチを入れると帯を固定しやすくなります。
また、歩き方にも注意が必要です。大股で歩くと裾が乱れやすいため、やや小幅で歩くよう心がけましょう。
万一の時用に、腰ひも1本と着付けクリップを1本持ち歩くようにすると、いざという時に安心です。
4.早足で歩く、堂々とする、着慣れ感を出す
以前友人と、「私たちは着物警察に遭遇したことないよね」という話になりました。
理由を考えてみたところ、以下の3点に落ち着きました。
早足で歩く。
これはそのままですが、早く歩くことで物理的に相手が話しかけてくる機会を減らします。
歩きやすい草履を選べば、靴と同じ速さで歩くことができます。私はカレンブロッソを愛用中です。
堂々とする。
まず、キョロキョロしません。キョロキョロすると不安そうに見えてしまいます。
キョロキョロしたり、下を向きたくなっても、心を強く持って、ぐっと視点を前方に固定してください。
私の場合、コーディネートに自信がない時や着付けがうまくいかなかったとき、「しゅん」とした気持ちで外出することがあります。
ですが、そんなときほど、いっそ開き直るように意識しています。
「着付けがうまくできていないこと、自覚しています!(だから放っておいてください!)」
「コーディネートがすこし変なの、分かっています!(だからそっとしておいてください!)」
せっかく好きな着物を着て出かけているのですから、ネガティブな気持ちは少しでも減らしてお出かけしましょう。
着慣れ感を出す
友人は、着心地を優先しているため、補正をしていません。
また、衿芯が苦手だそうで、衿芯を付けず、衿元はゆったりとしています。
それでも着物警察に遭遇しないのは、それらが逆に「着慣れている感」になっているからだと思うのです。
ちなみに、この友人は紬を好んで着ているので、それも大きな理由かもしれません。
(さすがにフォーマル系の着物の時にその着方だと注意されるかも・・・。)
大事なのは、「私はこういう理由でこの着方をしている」というはっきりとした気持ちを持つことなのかなと思います。
5.自分の中で着物を日常のものと扱う
以前、まずはおうち着物から始めてみましょう、ということを書きました。
人の視線が気になるのは、自分が着物を「非日常的なもの」と捉えているから。いっそ「日常の一部」と捉えた方が、自分の気持ち的にもハードルが下がるのではないでしょうか。
この記事でも言及している通り、私は着物を着る回数を重ねれば重ねるほど、人の目が気にならなくなりました。私にとっては洋服と同じくらい、着物が日常的なアイテムになり、自分自身が着物を着ることに対して気負うことがなくなったからだと思います。
もちろん今でも、「ここに着物で行っていいかな?」と思うことはありますが、人の視線が気になるというよりは、他の人の迷惑にならないかが気になるからです。
また、着物に慣れないうちは、ぎこちなさが出てしまい、余計に人の目が気になってしまうこともありますよね。ならば、外出するまでにお家で着物を着て、ある程度慣れてしまうのも一つの手だと思います。
6.まずは近場から
初めての着物外出は、近所への買い物など短時間・短距離から始めることをおすすめします。
「帰りたい!」と思ったらすぐに帰れる距離だと安心です。
慣れてきたら徐々に行動範囲を広げていけばよいのです。
何より大切なのは、着物を楽しむ気持ちです。不安よりも楽しさが勝れば、自然と表情も明るくなり、素敵な着物姿になるはずです。
着物の不安を乗り越えて自信を持って楽しもう
着物での外出に対する不安は、経験を積むことで必ず軽減されます。これは私自身が経験したことです。最初は誰でも緊張するものですが、一歩踏み出す勇気が大切です。
「完璧でなくても大丈夫」という気持ちを持ちましょう。着付けが多少不完全でも、着物を楽しんでいる姿こそが一番美しいものです。(意外と気が付かれないことが多いです。)
万が一嫌なことを言われても、相手が特殊な人だっただけです。そんな人の意見に振り回される必要はありません。
着物を着る人が少数派だからと言って、自分の「好き」を遠慮する必要はありません。
不安な気持ちがあっても、好きなものを我慢するのはもったいないことです。勇気を出して一歩踏み出せば、きっと素敵な着物ライフが待っていますよ。