インドのテキスタイルに関するセミナーに参加してきました
参加した理由
先週、市内で開催されたセミナーを受けてきました。「日本とインドを結ぶ布―テキスタイルが映すインドの多様性と歴史」というタイトルです。
講師の方は、ニューヨークで出版社を設立したご経験もある方。現在はインドで精力的にご活躍されているそうです。
元々、アジア諸国の布に興味があり、インドも例外ではありません。
インドといえば、インド刺繍が流行しましたよね。半衿にしたら可愛いかも、と思いながらまだ試せていません。
インドのお話
セミナーの会場に入った瞬間、先生が来ている美しい刺繍のサリーが目に入りました。そういえば実際にサリーと、サリーを着ている人を生で見たのは初めてです。
黒地に、シルバー系だったかな、の刺繍が全体的に入っていて、とっても華やかでした。でも、かといって派手な感じはせず、上品で本当に素敵でした。(こんな時、自分の語彙力や表現力の乏しさが残念でなりません。)
テキスタイルの話の前に、インド自体のお話がありました。インドには、EUに匹敵するくらいの州があるそうです。また、言語や習慣なども、一言ではまとめられないほどに、各地で違いがあるそうです。
インドの植民地時代のことや日本との交流の始まりなどのお話もありました。
インドとの交流は、大使館や領事館ができる前、ビジネスが先だったそうですよ。
全く知らないことばかりだったので、どのお話も勉強になりました。講師の方がまたお話上手で、すっと入ってくるんですよ。笑いもありで、とても和やかな雰囲気でした。
そうそう、素敵だなと思ったお話をひとつ。
インド国内には先に述べた通り、宗派もたくさんあるそうです。ですが、ホスピスなど宗教関わらずに人の受け入れをしますよね。そのような施設には、各宗教のマークが円形に並べられていているそうです。宗教がきっかけで戦争が起きたりするような国もある中で、寛容性が感じられるエピソードだなと感じました。
インドと絞り
このセミナーの中で私が一番驚いたのは、「絞り」がインドから伝わってきたということ。インドから日本に持ち込まれ、日本で細かい絞りが誕生し、その日本製絞りがインドに逆輸入されたそうです。実際に触らせていただいたサリーには、絞りが施されたものもありました。(もちろん、ちゃんと凹凸もありました)インドの方には、絞りが人気だそうです。
そこで思い出したのが京都の絞り工芸館。インドの方が行ったら喜ばれるのではないでしょうか。
工芸館の方曰く、絞りの作品に対する対価は、時給にして500円程度だそうです。(あまり高価だと売れないから。)インドの富裕層の方、買ってくれないかな~。笑
素晴らしい絞りの作品には、時間と技術、労力が必要なのはわかります。高価になる理由が理解できる一方、日本はこのご時世ですからね・・・。
話が脱線してしまいました。失礼しました。
テキスタイルの話
テキスタイルのお話は、スライドと現物でご紹介いただきました。とても覚えられないほどたくさんの種類があってびっくり。
もし、インドのテキスタイル市があったら、数時間滞在できそうです。笑
刺繍にしても、刺繍の種類によって、雰囲気が全く異なる仕上がりでした。絣は、日本では見たことがないような、多色使いの華やかな絣もあるみたいです。
中には、悲惨な歴史を持つテキスタイルも。
透け感のある薄い生地に、織で模様が入った素敵なもの。イギリスの植民地時代だったか、そのテキスタイルがイギリスで(?)流行することを恐れたイギリス。いっそ作れないように、製作者たちの手を切り落とした殺したりしていたそうです。(うろ覚えで、もし詳細を間違えていたらごめんなさい。)
日本の歴史では聞いたことのない話ですよね。
ちなみに、この日先生がお召だったサリーは、パールシー刺繍というそうです。
日本の着物との共通点
やはりサリーも、若い人は結婚式など特定の場面でしか着ないことが多いそうです。
格というものはないそうですが、改まった場でのポリエステルはちょっと、という雰囲気もあるそう。その辺りは着物とも共通しているように感じました。
共通点といえば、インドでは「不均一さ」をよしとしているそうです。実はこれも日本にもある感性なのではないかと思っています。
以前読んだ呉服屋さんのブログに、似たようなことが書いてありました。たしか手ぬぐいを例にした話だったかな。「同じドットでも手書きとプリントでは印象が異なる。プリントは寸分違わず模様が印刷されるが、手書きはそうはいかない。手書きから生まれる、ちょっとした違いが、暖かさや味を生む」といった内容だったと思います。
これも不均一さから生まれる良さですよね。
また、講師の方がインドで着物を着ていると、興味を持ってくれる人が多いのだそうです。以前に増して、インドに対して親近感がわいた1日でした。
インド面白小話
講師の方はとにかく知識が豊富で、ちょこちょこ小話を挟んでくださったのですが、中でも面白かったのが、交通事情の話。
とある地区に日本が信号を設置しようとしたらしいのですが、インドの交通事情(特定の場所であるにもかかわらず)がイレギュラーなことが多すぎて、データ収集が困難なため、いまだ活用できていないそうです。笑
異国の話を聞くって楽しいな。
また開催されたら参加したいと思っています。
以上、インドのテキスタイルセミナーレポでした。