昨年の夏、京都へ旅行に行きました。
目的は、細見美術館で開催されていた「澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 ときめきの髪飾り―おしゃれアイテムの技と美 ―」を見に行くこと。
夏の京都はとにかく暑いと聞いていましたが、どうしてもこれは行きたかったのです。
ちなみに京都へ訪れるのは約10年ぶり。そして国内では初の一人旅です。
始発の次の新幹線に乗り、いざ京都へ。
京都に到着後、まずは荷物を預けて、さっそく1か所目の目的地に向かいました。
京都絞り工芸館
こちらでは絞り染めの体験ができます。
私は後ろに予定があったため、今回は展示だけを見に行きました。
絞り染めの説明
工芸館で受付をした後、まずはビデオを見て絞りについて学びます。
また、絞りに使用する道具や絞りで染められた布などが置いてあり、実際に手に取って見ることもできます。
染める前に糸で巻いた状態の布も見せていただいたのですが、本当に細かい。
注:集合体恐怖症の方は素早くスクロールしてください。

すべて手作業だそうで、もう脱帽です。
この写真を見るだけで、いかに時間がかかるか想像に難しくありませんよね。
さて、このように相当な時間をかけてできた作品でも、価格が高すぎると売れないため、時給換算すると500円程度にしかならないというお話でした。
こちらは、手作業の本疋田絞りと、機械を使った針疋田絞りの比較写真です。

手作業の方が圧倒的に中央の粒が小さいです。機械だと、どうしても針の大きさがあるからこうなるそう。
絞り染めを使用した展示物
私は尋ねた時は、絞りを使って作成された鳥獣戯画が展示されていました。
鳥獣戯画というのは、日本最古の漫画とも言われる絵巻物ですね。
恥ずかしながら私自身、鳥獣戯画のことをよく知らず、「古風なイラスト」くらいにしか思っていませんでした。
展示されていた鳥獣戯画、全長35メートルとのことでかなり長かったのですが、物語になっており、意外と飽きることなく楽しめました。
そして、普通の鳥獣戯画のほかに、もう一つ、オリンピックに合わせて製作されたという「絞り スポーツ鳥獣戯画」も展示されていました。こちらも全長40メートルと大作です。
製作期間は2年3か月、作品は分業制で作製されるそうで、約50人の技術者の方が関わっているそうです。

鳥獣戯画とスポーツ鳥獣戯画、同じ型を使用して作成されているというもの見どころの一つでした。
例えば、鳥獣戯画の中では、サルがウサギに追いかけられているシーンが、スポーツ鳥獣戯画だとリレーをしているシーンになっていました。
他にも、動物たちがボルタリングをしたり、レスリングをしたり、とても可愛かったです。
絞り染めも、複数の種類の技法が使用され、絞り以外の、染めの技法も使用されており、見に行っておいて本当に良かったと思いました。
時期によって展示物は変わるようです。
ちなみに、ビデオから展示物まで、工芸館のスタッフの方が丁寧に解説をしてくださいました。
日本語・英語、どちらも対応可能のようです。海外からのお客様もそこそこいらっしゃいました。
このような日本の伝統文化が世界中の人に知ってもらえるのは嬉しいことですよね。
伝統技術の価値
物販コーナーもあり、絞りに関する本や、日傘、バッグなど幅広いアイテムが販売されていました。
バッグを購入するかどうか、次の日まで悩みましたが、今回はお見送り。
絞りのエコバッグだけ購入しました。
今回初めて、絞りの技術や、その技術を用いて作られた作品をリアルに見ることができました。
日本が誇れる伝統的で高度な技術。そして、その技術で作られた作品は当然に素晴らしかったです。
ただ、その作品をためらわずに購入できる人が、日本にどれくらいいるだろうかと思うと複雑な気持ち。
職人が手作業で丁寧に作っているという点では、ハイブランドと同じなのにな、なんて思ったり。
巧みな伝統技術を有する職人さんなのに、時給にして500円程度にしか収入にならないなんて、あまりにも残念すぎる。
そんなことを思ったのでした。
さて、この後友人と合流したため、京都観光は一旦終了です。
2日目、京都観光本番です。
京友禅体験工房 丸益西村屋
こちらでは、友禅染め体験をしてきました。型に染料を付け、刷毛で刷り込んで布に絵柄を染める、「摺込友禅」という技法が体験できます。
まずはアイテムを選び(私は巾着)、そのあと絵の型を選びます。
型の種類がとにかく豊富で、決めるまで時間がかかってしまいました。
アイテムと型を選んだら、店員さんが実際に染料と筆を使って手順を説明してくださいます。そのあとは一人で黙々と作業です。
すでに用意されている色を使ってもいいし、色を重ねて好きな色を作ってもいい。
グラデーションのようにしてみるなど、色々とアレンジができて楽しかったです。
私は見本を見ながら作りましたが、我ながら大満足な巾着が出来上がりました。
店員さんは親切で、「型はいくつ選んでもいいですよ」、「巾着も両面どうぞ」などお声かけくださいました。
作業中も「大丈夫ですか?」と気にかけてくださり、完全放置スタイルではなかったのでご安心ください。
店員さんが細かい部分まで見てくださり、結局2時間くらい滞在してしまいました。
思いのほか集中したので、工房を出会た後の疲労感がすごかったです。笑
でもとても楽しかったので、また京都に行くときは再訪したいと思います。
細見美術館
今回の旅行の目的地です。
たくさんの櫛や簪が展示されており、見ごたえ抜群でした。
こちらの簪は、街の様子が模様になっているのかな?私好みです。

この簪も可愛い。

こちらは2枚が対になっている簪。友達と分けて挿すのも楽しそう。

水晶の簪。普通に欲しい。

紅板。現代でも人気が出そうなほどおしゃれですよね。

そうそう、昔の女性がしていた髪型も紹介されていました。
未婚者がする髪型や既婚者がする髪型のほかに、妾や囲われ人がする髪型なんてものもありましたよ。今では考えられないですよね。
猛暑の中、汗だくだくで見に行きましたが、その価値は十分にあったと思います。
帰路へ
そのあと、祇園の路面店や京都駅でお土産を購入し、福岡へ帰りました。
今回の旅、たくさん歩き回ったので、2日目の夕方くらいから足が筋肉痛になりました。
筋トレ以外で筋肉痛になるなんて、何十年ぶりでしょうか。
夏の京都は暑いとは聞いていましたが、本当に暑かったです。
あまり汗をかかない私でも、10分程度歩いただけで汗が止まりませんでした。
暑さのせいで、通常の倍以上疲れた気がしますが、とっても楽しく充実した旅でした。
行きたいところ、体験したかったこと、まだまだたくさんあるので、また行きたいと思います。